第3章 タケミカヅチの初仕事
「でだ、……コレはどういう事だ?」
腕を組んで、私の倍以上もある大男二人を仁王立ちで見下ろす。どうして見下ろせれるって?
私の目の前で正座をさせられているから、である。
「オレ様じゃねーし!」
「おれでもねーよ!!テメェが悪いんだろーが!」
正座させて、動きを抑えたはずなのに……口喧嘩を始めて、今すぐにでも立ち上がって殴り合いをしそうになっている。
私の後ろには本殿の一角、ある部屋の壁の前にいる。これがいつもの壁ならいいけど、真ん中に大きな穴をあけ、部屋の中身が丸見えだ。
「お前等は子供か!?殴り合いは止めろ!!これ以上穴を大きくしてどうしたい?何?外で土管風呂でも入る?」
穴をあけた犯人であるシュテンドウジとスサノヲの頭に、同時に手刀を落とす。私の腕力じゃ痛みなんて与えられないし、何かが当たった位で終わるだろう。
この大男二人に悲しくも穴を開けられた部屋は、誰かの部屋ではなくて、浴場だった。
普通の寝室や客室だったら、別の部屋に移ったりして壁が直るまでどうにかできたのに……。よりにもよって……浴場って……浴場って……。
あまりにも呆れたとしか言えなくて、自然と溜息が出てしまった。
こんな状態になったのは、遡る事、数十分前の事ーー
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