第2章 ◇ episode 01
「おいおい、また今日も卵かけご飯かよ。もういい加減にしてくれよ…。」
「文句言うなら食べなくていいネ。」
「仕方ないですよ銀さん。最近依頼も来ないし火の車なんてレベルじゃないですから。」
とあるかぶき町にある“万事屋銀ちゃん“と書かれた家の中で、一つの机を囲み朝食を食べようとしている三人がいた。まだ幼い少女はてんこ盛りの白米、何も言わず黙々と食べる眼鏡を掛けた少年、そして目の前にある卵かけご飯をまるでゴミを見るような目で見つめる銀髪の男。
「いくら家計が火の車でも、毎日卵かけご飯って…。他にももっとあるだろ、何で卵かけご飯なんだよ、何で生卵なんだよ。」
「銀ちゃん、食べないなら私によこせヨロシ。」
「ああああ!!俺の朝ご飯があああああ!!!」
いつまで経っても食べようとしない卵かけご飯を少女が横取りをし、一気に口の中に入れる。それを涙目で怒る男、坂田銀時。その銀時の朝食を横取りした胃袋ブラックホール少女、神楽。そしてその光景を見ても一切動じないツッコミ担当、眼鏡。
「おい、眼鏡って何だよ。ちゃんと志村新八って名前あるんですけど!」
「もうお前が眼鏡だろうがグラサンだろうが今の俺には関係ねェんだよ!どうしてくれんだ俺の朝飯!!」
貴重な朝食を奪われたショックで他人を貶し始める銀時。詫びる素振り等一切無い神楽は、満足そうにお腹を摩りながらソファーに寝転んでいた。
「文句ばっかり言ってるからですよ。食べられるだけありがたいと思わないと。」
ご最もな事を言われ、銀時は言い返すことが出来ずに不貞腐れた。はぁっとため息を零しソファーから立ち上がるとトボトボと玄関へ向かって歩き出した。それに気付いた新八が何処へ行くのかと尋ねれば、コンビニとだけ言い残し家から出て行った。
「大食い娘に飯は取られるわ新八に説教はされるわ、おまけに雨まで降ってるなんざついてねェな。」
外へ出るなりシンシンと降る雨とどんよりと佇む雲を見上げれば、銀時の気分はより一層落ちていくのであった。