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【 銀魂 】泥中の蓮 ◇ R18

第1章 ◇ episode 00




時期は梅雨真っ最中の夜。

雨こそ降っていないものの、湿気が辺りを覆い尽くす。

じめじめとした空気が人々の気を重くさせる中、薄暗く、僅かに雲の隙間から顔をちらつかせる月明かりに照らされた小汚い古民家の中に居たひとりの女は、物欲しそうに外を眺めていた。


「梅雨が明ければ、私は……。」


最後まで言葉を言い切らず、先程の表情から一変、切なそうな表情に変わった。暫く空を眺めていれば家の戸が開かれる音が聞こえた。その瞬間女の身体は酷く震え始め、自分の部屋へと近付く足音に怯えた。

足音は一人の物でなく、三人程の物だった。女は瞬きをするのを忘れ、ゆっくりと部屋の戸の方へと振り返った。それと同時に複数の足音がピタリと止まり、少し間を置いてからゆっくりとその部屋の戸は開けられた。


「旦那、コイツが言ってた女ですかい?」

「あぁ、そうだ。どうだ?実に美しいだろう?」

「えぇ、溜まりませんよ…。」


部屋に入るなり酷く卑しい笑みを浮かべる二人の男と、それを見て満足そうに笑う男。女は思わず男達から目を逸らそうとしたが、中心であろう男の言葉によりそれは許されなかった。


「どうだ、快感に溺れる日々は?女として最高の人生であろう?父に感謝して欲しいものよ。なぁ?よ。」


女は父と名乗る男の台詞を聞いた途端顔色が変わった。その中でも“父“という言葉に過剰に反応し、女も負けじと睨み返した。


「父親?笑わせないで。アンタなんか父親じゃない。勘違いも甚だしいわ。」

「ふん。そんな事をほざいていられるのも今のうちだ。お前達、今日一日この女を好きな様にするがいい。貰うものは貰った。私は次の客を探しに出掛ける。」


女の威勢を嘲笑い、客と称された二人に全てを任せ、その男は部屋から出て行こうとした。男二人はそれを聞きただの獣の目になっていた。着物の上からでも分かるほど下半身は膨らみ、今にも飛び付いてきそうな勢いだった。勿体ぶるかのようにゆっくりと近付く男達に、部屋を出ていく前に男が最後に一言残した。


「くれぐれも傷を付けるんじゃないぞ。」


そして部屋からその男の姿は消え、女一人男二人となった。


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