第3章 ◇ episode 02
団子が来るまでの僅かな間、雑談を楽しむ万事屋一行と長谷川。そんな中、誰も触れなかった話題に首を突っ込んだのは長谷川だった。
「それにしても、その女の子いろいろと問題抱えてそうだな。」
「そうですね…帰る場所が無いって一体何があったんですかね…。」
一人が言い出せば広がるその話。新八と長谷川は真剣に考えているようだったが、銀時は一切その輪の中へ入ろうとはしなかった。神楽に関しては団子が待ち遠しくて仕方が無い様子だ。
「はーいお待たせ!ほら、ちゃんも挨拶して!」
新八と長谷川が頭を悩ませている間に、お待ちかねの団子がようやく運ばれて来た。おばさんに言われ背後から団子の乗った皿を持った女が姿を見せ、その美貌を一目見ようと一同がその女に注目した。
「どうも、団子遅くなってすみま、せ…ん…。」
挨拶をしながら顔を上げる女。だが語尾がどんどん詰まり、終いには硬直してしまった。
「あ。」
そして女の姿を目にすれば銀時も硬直。その場は変な空気が流れ、銀時と女以外の頭には“?“が浮かんでいた。次第に女の口はパクパクと動き始め、皿を持つ手が小刻みに震え出した。
そして覚束無い様子で銀時を真っ直ぐ見つめたまま再び口を開いた。
「あ、あんた…あの時のイチゴ牛乳野郎!なっ、何でここにいんのよ!」
「何でってここに来てるなら目的は一つだろうが!糖分摂取だバカヤロー!!」
「糖分摂取するだけなら他の店行けばいいじゃん!!何でよりによっていっつも私のいる所に現れんのよ!!」
「それはこっちのセリフだっつぅの!!」
突然いがみ合う二人、状況が掴めない新八達は何事かと焦り始める。止めに入るも言い合いは収まらず、ただひたすらお互いの事を貶しあっていた。それもまるで小学生の喧嘩の様な言葉ばかり並べたような言い合い。
周辺には野次馬が集まり、物陰に隠れていたチキンな男連中は怯え、それ以降隠れて見るどころか、近寄る者は居なくなった。