第3章 ◇ episode 02
あれから数日、銀時達はやっとの思いで依頼にこじつけ、決して裕福にはならないものの、朝昼晩と違うメニューの料理を食べれられるまでに回復した。今日も依頼があり、朝食を済ませば三人で依頼主の所へと向かう事になっている。
例の人斬りにバッタリ遭遇という事も無く、気が付けば一時期ニュースで何度も取り上げられていた人斬り事件もパタリと見なくなっていた。銀時にとってあの出来事は今思い出しても腹立たしいものの、笑い話になるくらいにはなっていた。
「おーい、そろそろ行くぞー。」
「はーい!神楽ちゃん早く!帰ってきたらまた食べればいいじゃん!」
「ういまたぶえとあいあふ!!」
“今食べたいアル!!“そう言いたかったのだが、口に食べ物が入ったままで勿論まともに話せず、銀時達には伝わらない。結局神楽は満足に朝食を済ますことは出来ず銀時に引っ張られ三人は自宅を後にした。
「うっ……食べた後に動いたらものっそ気持ち悪いアル…。」
「お前の場合は食べ過ぎで気持ち悪いんだよ。」
苦しそうに歩く神楽を見ながら銀時は説教をするようにそう言った。そんな二人の少し前を歩く新八は、住所と地図を見ながら依頼主の自宅を探していた。
「ここら辺だと思うんだけどなぁ…。」
「眼鏡の癖にそんな事も出来ねぇのか。だからお前はいつまで経っても眼鏡なんだよ新八。」
「眼鏡に恨みでもあるんですかアンタは!」
それから少し道に迷ったものの、無事依頼主の元へと辿り着けばそこは豪邸だった。金の匂いがプンプンすると、銀時はニヤけ顔が収まらなかった。
が、そんな喜びも束の間、依頼主と話をして依頼内容を聞けば、この豪邸の敷地内に生えた雑草の処理だった。いわゆる草取りだ。とんでもない広さと知ってこそ、三人の気は一気に遠くなった。そしてお目当ての報酬の話に入れば少し元気を取り戻す銀時達。
「報酬はコレ、動き回って貰わないとダメだからランチとディナー付き、どうだね?」
「「「仰せのままに!!!!」」」
目の前に置かれた札束、そしてご飯付きとなればやらない奴が何処にいる!と、三人は息を吹き返し何の指示も受ける間も無く庭へと駆け出していった。