【HUNTER×HUNTER】pleats-プリーツ
第109章 109話
「え!それでいいんですか!? 」
「ただしこちらから報酬を支払う事はない。キミはハンターでもないのだろう? 」
いつの間にか流れが変わっている気がする。
能力を見せてからノヴさんの中で考えが変わったのか、割とあっさり承諾してくれた。
「はい!お金は要りません。お役に立てるなら光栄です!」
「フッ……、よろしい、ならば今回の依頼の件に移ろう。」
ノヴさんはソファーを立ち、私からネクタイを取って結び直すと
そのままツカツカと窓辺まで近づいて外を見る
いつの間にか窓の外は薄暗くなり始めていて、街明かりがチラチラとブラインドから見えていた。
「もうこんな時間か…、すまないが手短に頼む」
スイッチを切り替える様に首元を揺らし、キュッと結び目を締めてこちらに戻ってくる彼は先ほどまでとは違う雰囲気だ
正にプロハンターというような気迫に少し圧倒された。
そして言われた通り、なるべく簡潔に要望を伝える。
元々シンプルな依頼だったのもあり、彼は拍子抜けした様子で契約を結んでくれた。
8月28日から9月10日の2週間、4次元マンションの一番広い部屋を賃貸契約する。
「出口も入口も作らない大部屋。本当にそれでいいのか? 」
「はい、出口があると困るので…。あのすぐ戻りますから少々お待ちいただけますか? 」
テーブルに指輪を置きスッとその場から消え、用意していた大きなカーペットを私の部屋から持ち出す。
再びハンター協会本部の応接室に戻ると、ノヴさんは唖然としつつも私のやりたい事を察したかのように「なるほど」と呟いた。
「このカーペットだけ敷いておいていただいても良いでしょうか? 」
「入口は自分で作るという事か…いいだろう。
賃料は前払いだ、名刺の裏に書いた口座へ24時間以内に入金してくれ。敷金礼金はサービスしておこう」
ノヴさんはカーペットを抱えながらそう言うと、静かに地面へと沈んで消えていった。
1人応接室に残された私は、ノヴさんの念能力を目の当たりにして妙に興奮しつつ
深くため息をついて、だらしなくソファーに寄り掛かる…
「ノヴさんって…ジョークとか言うんだーー…」
一先ず計画一段階目はこれでクリア…。