【HUNTER×HUNTER】pleats-プリーツ
第91章 91話
「ゴン!ガンバレー!!」
柄にも無く大きな声で声援を送っている私は少し興奮していた。
それはゴンとキルアの2人が、脅された仕返しで爽快に勝つこのお話が好きだったから。
卑怯な奴らを努力で圧倒する試合、2人ともかっこいいしスカッとして最高だ。
『なんとォーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
リングの石板ごとギドをひっくり返したーーーー!!
この手があったーーーーーーーーーーーーー!!』
試合はゴンの優勢で進んでいる
ここまできたらお話通りだろうと、私が一安心していた時。
バキ!!
大きく振りかぶったゴンの拳が、命乞いをするギドの義足をぶち折った
思わず歓声をあげて盛り上がる、拍手したり拳を高く掲げたり
他の観客と同じようについついはしゃいでしまった。
しかし次の瞬間
「!?」
『おぉっとォーーーーーー!!!ゴン選手!戦闘不能のギド選手の首を掴み持ち上げたーーーーー!!!』
「え!?」
持ち上げたりしたっけ…!?
驚いたのも束の間
「もう一度名前に手を出してみろ 次は全力でその顔ぶっとばす!!」
ギドを軽々と持ち上げて、ゴンはそう怒鳴りつけた。
そのセリフが客席にいる私に聞こえているのだから、この場にいる殆どの人間の耳にも届いているだろう
ドサッ!とギドが地面に叩き付けられ試合は終了。
本当ならその勝利に対して周りの観客と同じように盛り上がりたい所だけれど
私はあまりの恥ずかしさに直前まで振り上げていた拳をそっと収め、黙りこくるしかなかった。
私が急に静かになる様子を見て、ウイングさんがクスッと笑う
「耳まで真っ赤ですよ」
そう言われるまで身動きが取れないほどドキドキしてしまっていた。
ゴンっ…!
カッコ良すぎる!!
どうしようめっちゃキュンっときちゃったーーーーーー!!!
顔面を両手で覆い下を向くと、ウイングさんは更にクスクスと笑っていた。