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【HUNTER×HUNTER】pleats-プリーツ

第90章 90話



5月29日

あれから、あっという間に2週間ほどが過ぎた。


私の念の修行も少しずつ進んでいて、最近はあらゆる物を手当たりしだいに転送している。

これは、一度転送した物質が身体に記憶されていると気がついてから始めた。
転送したことのあるものと、新しいものとではその難易度が変わるようなのだ。
なので今はひたすらに転送経験を増やしていっている




「え!全額キルアにベットするの?」

「あ、見られちゃった?」



そんな修行の毎日だったが、今日は例のキルア対サダソ戦当日

私はゴンとズシと3人で一緒に闘技場に来ていた。
どうせ不戦勝になるだろうけど、応援する体でギャンブルスイッチを押しにきたのだ。


「キルアが勝つってこと?」

「勝つって言うか…」


『不戦勝!意外な結末です!キルア選手戦わずして2勝目をあげましたァーーーーーー!!!』



「不戦勝…」

「不戦勝でも勝ちは勝ちっすよ!
兵法の極意っす!戦わずして勝つ!キルアさん凄いっす!!」



ポカンとするゴンの横で、ズシがテンション高めに拳を突き上げている。

リング上のキルアは被っていたキャップを高々と放り投げてキャッチして見せていた。
パフォーマンスみたいなことするんだなぁ…


─────────────────────────────



「不戦勝でも勝ちは勝ち…」

ぶつぶつ呟きながら、高額配当金を受け取る私…
試合後、人の目に怯えながら速やかに換金所へ移動して、ギャンブルスイッチの結果をお金に変えてもらっている。
いつもバカ勝ちしている私に向けられる従業員からの目線が割と痛い。

換金自体は慣れたものだが、今回は特に高額だった。
ダラダラと脂汗が止まらない…


ゴンは差し出された現ナマに目が点になっていた。


「名前、冷や汗凄いよ」

「ゴンこそ」




あまりの大金にジュラルミンケースごと渡されるが、とてもじゃないが現実味を感じられない重さだ。
大振りのケースを2つ、ゴンに持ってもらい、そそくさとその場を後にした。


ゴンがいるから何かあっても大丈夫だと思うけど、さっさと銀行に入金してしまおう…。

何も悪いことはしていないと思いたいが、心のどこかに後ろめたさを感じていた。
この後数回の試合分は誰か他の人に頼んで賭けてもらおうかな…。



20230610
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