第7章 猫⑦
電灯の灯りが並んで見える坂道を研磨と並んで歩く。
クロの顔が、声が…何度も頭の中で繰り返される。
まるで映画のワンシーンだけを繰り返し見てるみたい。
モヤモヤとする心に、自分自身に腹が立つ。
「あやね、何かあった?」
「へっ!?何が??」
「…いつもと違うから」
「いつもと、違う?」
「違ったならごめん」
私を気遣ってくれてるんだと思う。
研磨からこうやって話してくれるのって珍しいから。
「ありがとう、気にしてくれて。最近、自分が分からなくなってて…」
ゆっくり歩く私達、この歩く速度も研磨が私に合わせてくれてるのが分かる。
研磨、優しいから。
何も言ってこないのもきっと、どう言うか困ってるからだろうな。
私はわざと声のトーンを上げて謝った。
「ごめんね、全然たいした事じゃないんだ!それにしても、部活の練習凄いよね!」
無かった事にしようと、私は見ていた内容を話していると研磨からポツリと聞こえる。
「分かろうとした先に待ってる“答え”が恐いんじゃない?」
目を見開いた。
研磨の鋭い言葉に、胸が痛む。
横にいる研磨を見れば見透かすような瞳が私へ向けられていた。