第10章 其ノ玖
人も愛し人も恨めしあじきなく
世を思ふゆゑ にもの思ふ身は
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大『おい。 才蔵! サスケも居らぬ
のか ?』
裏の森へと行く時にいつも和也が履いている下駄がない事に気づいた。
和也に何かあったのか…。
いやな胸騒ぎを覚えて、懐に短刀だけを忍ばせ、とるものもとりあえず森へと駆け出した。
大『すまない…… 和也… 俺は』
和也にもしもの事があったらと、急にさっきまでの翔との情事を思い出して、後悔と罪悪感に苛まれてきた。
大『これは……』
しばらく行くと、山賊たちが数十人倒れて息絶えている。
微かに残った火炎の匂いに、やったのが才蔵とサスケ二人であることは容易に気づいた。