第4章 其ノ参
東『…お前たちな…またか。
昔から殿には内緒の頼みばかりだな。
それに私はもう…』
その言葉に智も先生の左足に目をやる。
弟さんを助けようとして失ってしまった左足。
大『これは、私と才蔵しかまだ知らない事なのですが、その者は何者かに乱暴を受けた様子もあります。
目覚めた後、そちらの精神面でも先生にもお力ぞえたまわりたいのです。』
それを聞くと、先生は大きく深い溜め息を吐いて頭をかきむしった。
大『一生の…最後のお願いです。』
東『…分かったよ。 それで…その者の名はなんと申すのだ?』
大『才蔵の兄弟で 名を翔といいます』
そう言うと、先生は驚いた様子で固まったが直ぐに呆れた目を智へとむけた。
何故ならばその名は、亡くなった先生の弟の名だったからだ。