第4章 其ノ参
めぐり逢ひて見しやそれとも分かぬ間に
雲隠 れにし夜半の月影
***
北、東、西、三方角へは厳しい斜面。
鬱蒼とした木々の中に真田の屋敷へと向かう尾根へと続く道がある。
智久は、自分は大丈夫だからとは言っていたがそれでもとりあえず一度もちかえって考えて返事をして欲しいとこちらから頼み先程分かれた。
そうして途中、洞窟がある辺りなどは戦禍に滅ぼされた亡霊が、昼間ですら現れる事があると噂があって女、子供などは全く近づかない場所へとさしかかる。
松『あの者… もしや…』
大『まだ、息があるぞ。 かなり危険な状態だが……
とにかく…運ぼう』
松『ちょっと… お待ちください!
何を? 』
若い男の塊にと、勝手に駆け寄っていく智に
声を掛けながら思わず腕を掴む。