第26章 暁の空
あらざらむこの世のほかの思ひ出に
いまひとたびの逢ふこともがな
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其から半年がたった頃。
和『兄上………。 今宵は月がとても綺麗ですね。』
智『ああ………綺麗だ。 私は幸せだな。
こうしてまたお前と一緒に居られるなんて。』
あの後すぐに父上は倒れてしまったが最後にこれからはまた兄弟二人仲良く暮らして行きなさいと言葉を残して逝ったのだった。
和『はい。』
そっと、寄り添っていた身体を離すと静かに目を閉じると月夜の明かりに照らされて二人の唇が重なりあった。
『智様、和也殿! 大変にございます!
森田三宅の謀叛(むほん)にございますっ………』
永遠に感じられる口付けに酔っているとそれを引き裂くような松本と相葉の声が廊下から響き渡るのだった。
完結。