第25章 三・其ノ肆
『それでは…只今より新郎源一郎さん、新婦結衣さんの婚礼の儀を執り行いたいとおもいます。』
森田三宅の二人が両方から支えながら父が腰をおろしたのを見て一安心して座った。
そうして、まだ和也が到着しないままに結衣のお色直しになって一旦二人が会場から出て行くとそれと入れ替えに和也、そして相葉松本の三人が入ってくる。
和『………父上。 ただいま帰りました。』
静まりかえってしまった会場に父の前に膝をついた和也の絞り出すような声も響き渡った。
父『………よく戻ってきたな。 ………和也。
頭を上げて………早くこっちに来なさい。』
思ってもいなかったその言葉に和也の目からも智の目からも大粒の涙が溢れ出した。
和『はい。 父上っ』
そうして、父の胸の中にそっと身体をうずめてまた涙をこぼしたのだった。