第24章 三・其ノ参
来ぬ人を松帆の浦の夕なぎに
焼くや藻塩の身もこがれつつ
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『也殿……… 和也殿…………』
夜もふけ丑三つ時だろうか名を呼ぶ懐かしい声が聞こえてきて、そっと目をあける。
和『……雅紀っ』
思わず大きな声を上げそうになる所をシーっと指で唇をふさがれる。
相『静かに………、先生が起きてしまいます。
殿の容態がおもわしくなく、智殿からの後伝達で翌朝にも戻って来られよとの事にございます。』
和『父上が………。 そうか………承知いたした。』
相『和也殿………… 大丈夫ですか?』
和『雅紀っ……… 』
声を押し殺しながらも力強くそうつぶやくと相葉の胸へと抱きついた。
相『和也…… 会いたかった。』