第20章 二・其ノ玖
花さそふ嵐の庭の雪ならで
ふりゆくものはわが身なりけり
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松『では、私は一足先に戻ります。 また明日の
夕刻にお迎えにあがります故』
櫻『べ……別に迎えになど来なくともよいわ。
一人でも帰れる!』
松『私がそうしたいのです… 』
櫻『全く…… 好きにしろ……』
松『そういたします。 では、また明日。』
そう言うと逃げる隙も与えず、唇を合わすと忍者の黒装をまとい闇夜に消えていった。
櫻『…ふん。 どこまで本気だか…わからん。
それに私は智様の事だけで……他など……』
一人そうつぶやくと布団を被るようにして床についた。