第19章 二・其ノ捌
ながからむ心も知らず黒髪の
乱れてけさはものをこそ思へ
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大『お~い。 翔はおるか? 才蔵! 才蔵も
おらぬのか?』
相『皆様おかえりなさいませ。 今、翔殿は東山先生
のところへ行っておりまして才蔵がお供しているのでございますが… まだ二人とも戻って来られないのです。 』
大『おお……。そうだったか。 では影丸はおるか?
翔と二人に客人なのだが。』
相『はい。 では影丸は呼んで参ります。』
そう言って、後ろの方で様子を伺うように屋敷の中をキョロキョロと見回す怪しげな二人に疑いの目を向ける。
(また例のごとく智様の悪い癖が…)
呆れながら肩をすくめて一瞬だけ和也と視線を絡ませると、影丸を迎えに向かった。