第15章 二・其ノ肆
知『それじゃあ、おしげたんっ。
どっちがたくさんちゅ(釣)れるか勝負だぞ』
早速、侑李が真似してそう言うから智と二人顔を見合せ笑った。
加『たん…… 更に可愛く…… 分かりました。お坊ちゃん。
その代わり、負けても泣かれるのは無しにしてくださいね』
二『あはは。 もう、おシゲが勝ってしまって
侑李がぎゃん泣きしてる姿が目に浮かぶな。』
ため息をつきながら、戦が終わり帰ってくる智久の迎えに今度は手を繋いで二人で向かって行く後ろ姿を見つめながら
そんな会話をする。
大『まぁ、釣りは運もあるだろうからな。
有李一人で釣れないってことはないことを願うな』
そう言って、笑いながら二人が見えなくなったのを確認するとまた後ろ手に和也の手をそっとぎゅっと握った。