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レイジーシンドローム

第1章 熱帯夜


「また痴話喧嘩?何度もやってんじゃん。」
「でも今度は、電話とかメールも全然出てくれないんですよぉ・・・。」
おや、それはまた。香苗の眉間に少し皺が寄った。
「理由も意味分かんなくて・・・俺どうしたらいいか・・・。」
「とりあえず、そっち行こうか?」
香苗はなるべく優しい声で提案した。
原田の部屋へは何度か訪れているし、どうせ眠れなかったのだ。
手櫛で髪を整え、着替えようとクローゼットを開く。
「いいんすか?」
「いいよ。15分ぐらい待ってて。」
「はい。」
手早く約束して、携帯の通話を切った。

「さてさて、あたしも面倒見のいい先輩だこと。」
独り言をつぶやきつつ、部屋着を脱いで少しマシな服に着替える。
部屋と車の鍵が付いたキーケースを引っ掴み、カバンを手に取ると香苗はさっさと部屋を後にした。
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