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レイジーシンドローム

第1章 熱帯夜


ピリリリリ・・・!

枕元に置いていた携帯が、深夜の静けさを一変させた。
「誰だよ・・・。」
目をつぶったまま手探りで携帯を引っ掴む。
名前を見ようと細目を開けるが、明るい画面に数秒目がくらむ。

原田 啓太

画面の名前にいくらか驚いたが、深夜に電話は初めての事でもない。
寝転んだまま着信ボタンを押して、目を閉じ携帯を耳に押し当てる。
「もしもし?」
「香苗さーん・・・。」
啓太の情けない声に、香苗は目を閉じたまま小さく微笑む。
また深夜の相談タイムか。
まぁ眠れないしいいか、と軽い気持ちで話を続ける。
「どうしたー?研究でヘマした?それとも彼女さん?」
「彼女、なんですけど・・・あの・・・。」
どうやら泣いていたらしい。もごもごとした鼻声で聞き取りづらい。
「さっき急に、メールで・・・もう別れようって・・・。」
・・・なーんだ、またフラれたのかよ。
香苗は心の中で呑気につぶやく。

香苗は目を開け起き上がり、ベッドからのそのそと這い出た。
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