• テキストサイズ

レイジーシンドローム

第1章 熱帯夜


「・・・へ?」
呑気にお茶を飲む香苗に、啓太は目を見開く。
「彼女さん、寂しがり屋なんでしょ?そのうち寂しくなって連絡してくるから。」
そうしたら、まだ付き合いたいとか、好きだとか、ガンガン押しちゃえば大丈夫。
手を上下にぴらぴらと振って笑う香苗。
「意地っ張りなだけなんだよ、彼女さん。」
「意地っ張り?」
「そう、それに情緒不安定。卒論が上手くいってないのかな?それとも生理前?」
少々下品な冗談を交えてけらけら笑う余裕がある香苗に、啓太は毒気が抜かれる思いがした。
「でも、何もしなくていいんすかね?」
いつもは何度も連絡して、なだめすかして、それでどうにかしていたのに。
「今押したって、彼女さんが余計意地っ張りになるだけだよ。逃げるものは追いたくなるでしょ?たまには追わせろ追わせろ。」
もう一口、お茶を流し込む香苗。
まるで居酒屋で酒を飲むOLのようだと啓太は思った。

毒気も抜かれて少し冷静になった頭で、啓太は考えを整理する。
/ 65ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp