第3章 シド←→ジャス
もうちょっと一緒にいたかったけど、そろそろ夕食の時間。
戻らなくちゃ。
その前に……
「ジルにはなんて報告するの?」
「見返りは先にもらったから黙っといてやるよ。」
私の唇を親指でなぞりながら言う。
「なにそれ!」
「クッ……冗談だ。
テキトーに報告しとくから安心しろ。」
別れ際は軽くキスをしたあと頭をポンと撫でると、じゃあまたなと言って送り出された。
アッサリしてたけど、またな、って言葉が嬉しくて顔が緩むのを抑えられない帰り道だった。
……………
「ダシに使って悪かったな。」
ジャスの頭を撫でながらシドが言う。
「効果の程は眉唾もんだけど、いつか試しに食べてみるか。」
その手には小さな木の実があった。