第19章 勘違い ー光秀ー
「光秀さんは、私のことなんて女として見てくれてないと、思ってました。
だから他の人のことを想ってると勘違いできるんだ、って。」
抱きしめられた温もりに嬉しさがこみ上げて、喉の奥が熱くなる。
「あいにく、秀吉と違って俺は大事なものを愛でるとき苛めたくなるタチでな。」
「光秀さんのバカ……。」
「悪かった。」
光秀さんの手が優しく髪を撫でる。
なんだか夢みたい。
「二日酔いは治ったか?」
あ、そうだお礼。
「薬、ありがとうございました。
私に優しくしてよかったんですか?」
「具合を悪くされたままでは、こういうこともできないからな。」
私の唇を指でなぞると、光秀さんの顔が寄せられた。
「んっ…… 」
唇は優しく重なり、温もりが溶け合う。
そっと離れると伏せた長い睫毛と濡れた唇が目に入り、その艶っぽい表情に身体の芯が熱くなるのを感じた。
「どうして欲しい?」
「……っ 」
「たくさん甘やかしてやるつもりで来たんだ。
言ってみろ。」
甘く囁かれて、もっと触れて欲しくなる。
「光秀さんを、もっと感じたいです。」
今度は最初から深く口づけられ、光秀さんの手は帯の結び目を探し始める。
宵闇の迫る部屋で、私は光秀さんを一番深いところで感じた。
2016.10.13up