第5章 *お買い物
クレス君にシャワーを浴びてもらっているうちに、私は着るものを探しに行く。
9歳ぐらいの歳に合う服などもちろん無いため、適当にそれっぽく見えるのを選んで持っていくのだ。
ついでに自分も服を着替える。
自分はいつも長袖のシャツにベストにズボン、あと帽子という少し男性っぽい格好なのだが、自分の好みでは無くセン様から言われているからだ。
ちゃっちゃと着替え再びクレス君の元へ戻ると、ちょうどシャワーを浴び終えたところだった。
『サッパリしたね(笑) 着替え、着てみてくれる?』
「……。」コクコク
頭と体を拭いているクレス君を見てふと気づいた。
彼の背中に一つ印があったのだ。
見た事はない、奴らに付けられたのかも…と、クレス君の動きが止まった。
『……? どうかし、』
忘れていた、そう言えばサイズの合うズボンが無かったからスカートを持ってきていたのだった。
『あ、と…サイズ合うのが無くて、ね……だめ、かな?』
「…………。」コクリ
『ほ、ほんとっ!? ごめんね、ありがとうっ』
しぶしぶ、仕方ないという様に頷いてくれ思わず涙が出てきた。優しいクレス君、ありがとう。
上の服は大きすぎてブカブカだが、まあ何とかなるだろう。
濡れた髪を乾かした後、少し長いクレス君の髪を一つに結んで完成。
『よし! これでOK』
「…….??」
『…? なになに?』
突然首を傾げた彼は、自分の目の周りをぐるっと囲み私を指した。
顔の傷を指しているのだろうか?
『傷なら帽子を深く被るから、大丈夫だよ』
「……!」ホッ
『じゃあ行こうか!』
「……♪」コクリ
クレス君と手を繋いで、街に向かって山道を歩いて行く。
街から外れた山の中の屋敷だから街までは少しばかり距離があるのだ。
だが、そのおかげで私達術師は安心して暮らせている。
街は便利で賑やかだが、それと同じくらい暗い部分もあるから…。