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【庭球・BL・海不二】黄昏に映える人

第10章 耐えられない想いは重く。


「あっ!こっちは恋みくじだってー! 桃、引いてみろよー!」
「な、なんで俺なんスか?!」
「大石も、ほら!」
「えっ?!」
「俺、知ってるんだにゃー! 大石ってば、保健委員の――」
「ちょ、英二!! 何を言って…!」

 そんなことを言い合う英二たちに、隣で「アホくさ…」と言った表情をする海堂。
 そんな彼をじっと見ていると、僕の視線に気づいて海堂は「あ」と声を上げた。

「ん? なぁに?」
「いや…その、不二先輩は、引かなくていいのかなって……」
「え…」
「あ、いや……すんません」
「……うぅん…」

 いらないことを言ってしまった、とバツの悪そうな顔。
 ごめんね、そんな顔させたいわけじゃないんだけど…でも。
 今、この瞬間。
 僕のこと…考えてくれてるって、都合のいいように思ってしまう。

 ああ。
 こんなんじゃちっともお願いが叶いそうにもない。


 気持ちが消えるどころか、どんどん膨らんでいった。







 皆で買った必勝祈願守り。
 海堂と同じ、青色のそれを僕はそっと握り締める。
 もちろん、僕だけがお揃いなわけじゃなくて、手塚も同じ青色だったけど。
 たったそれだけのことが嬉しくて…。

 苦しい。


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