第8章 心に嘘はつけない。
また場面が変わった。
僕は海堂に抱きしめられている。
どうしようもなく、嬉しいという感情が溢れ出す。
ああ、そうだ。
前にも――――。
日が落ちて、真っ暗になるころ、僕は目覚めた。
ああ…どうしたらいいんだろう…。
好きに、なってしまったんだ。
そうだと気付いたら、これまでのモヤモヤがすべて理由がつく。
嫉妬と、独占欲と…。
馬鹿じゃないの。
海堂と僕は、男同士なのに。
僕は、変なんだ。
自分でも少し変わってる、ぐらいだと思ってたけれど…ここまで変だなんて、思ってもみなかった。
言わないでおこう。
ずっと、僕だけの心にしまうことにしよう。
乾のノートからも、このことは消してもらおう。
それしか、手はないんだから。