第9章 ずっと想ってた【チョロ松】
チョロ「僕はね高校一年の春、君に一目惚れしたんだ。突然ごめんね?でも、事実なんだ。名前も知らなかった君に会いたくて、いつも同じ電車に乗って。馬鹿みたいだろ?」
『そうだったんですか………』
全然知らなかった。
わたしは何も知らなかった。
チョロ「でも、想うだけのこの恋なんて、いつか終わりが来る。だから、僕はもう割り切って忘れよう、と頑張ったんだけど、ね。無理だった。君を忘れられなかった」
チョロ松さんの横顔がどこか寂しそうで。
わたしはベンチに置かれた彼の手に、自分の手を伸ばした。でも、触れられなかった。
きっと、今のわたしにその資格なんて、ないから。
チョロ「だから、君が店に来てくれた時、死ぬほど嬉しかった。また君に会えたって。そしたら、なんかもう、抑えられなくなった」
チョロ松さんがわたしの方に体ごと顔を向けた。
チョロ「僕はまた、君に惚れたんだ。いや、違うか」
チョロ松さんがどこか自嘲的に笑った。
チョロ「ずっと君が好きだ」