第9章 ずっと想ってた【チョロ松】
「ひ、人違いじゃないですか……?」
近寄ってみて、確信した。
チョロ松さんだ。
ピンクの鉢巻にはっぴ。手には溢れんばかりの………写真?かな?
『人違いじゃありません!チョロ松さん、ですよね』
チョロ「…………だとしたら、なに?」
なんか、いつもと違う。
少し言い方に刺がある。
『いえ……特に何もありません。ただ、チョロ松さんらしき人影だったので………』
わたしがそう言うと、チョロ松さんが驚いたように目を見開く。でも、それは一瞬で。
チョロ「ああ、そう。悪いけど、急ぎなんだ。今日、遅れないようにね」
チョロ松さんが早口でそう言った。
わたしの目を見ずに。
冷たく冷めた声で。