第2章 彼女の素顔
「明日花火大会じゃん。莉緒ちゃん一緒に行こうよ。」
「え?明日莉緒ちゃんも行けんの?」
「毎年男だけでむさくるしいだろ。俺は花が欲しい。」
明日は宮城で一番大きな花火大会。毎年、岩ちゃん、まっつん、マッキーと四人で行ってる。毎年男四人ってのはどうかと思うけど、なんだかんだいっても、楽しいから毎年このメンバーで行ってる。
莉緒ちゃんはマッキーの誘いに少し難しそうな表情をした。その表情からおおかた考えてる事は想像つく。莉緒ちゃんが歩けば皆振り返るし、お祭りテンションで変な奴らが絡んできそうだし、人混みとか絶対危ない。
「図体でかい男四人に囲まれとけば大丈夫じゃね?」
「俺、迎え行くよ。帰りもちゃんと送るし。」
マッキーとまっつんの言葉にまた、考えこんだ莉緒ちゃん。
「…迷惑じゃなければ。」
「よっしゃー!」
マッキーはガッツポーズをして大喜び。それを見て莉緒ちゃんは笑った。
「じゃあ俺、迎えに行くから。」
「いいよ、松川反対方向じゃん。一人で行けるから、何処かで待ち合わせしよ。」
「俺が迎え行くよ。」
「なら岩泉が迎えに行く?」
「え、だから俺が迎え行くって。」
「あー、明日ちょっと用事あるから俺迎え行けねーわ。だから俺は向こうで合流すっから、松川か花巻頼む。」
「ねえ、ねえ、だから俺が行くって。ねえ、なんで皆無視すんの!?」
莉緒ちゃんはため息をついて、嫌そうな顔をして俺を見た。
「松川と花巻、家と反対方向だし、迎えに来てもらうのも悪いから及川で我慢するわ。」
「え、我慢って何!?酷くない!?」
そのやり取りに皆笑った。