第24章 【番外編】似たもの同士の出逢い(京谷賢太郎)
「ねえ、トス上げよっか?」
部活に行かず、サークルを点々としている時、珍しく俺に声を掛けてきた奴がいた。人相が悪いせいで、女から声を掛けられる事は滅多に無かった為、声を掛けてきた女を見て驚いた。
「…お前のトスなんかいらねえ。」
ただ、スパイクが打てればそれでいい。トスなんかいらねえ。馴れ合いをする為にここでバレーをしてる訳じゃねえ。誰かと仲良くするつもりも更々ねえし、ましてや女からのトスなんて欲しいとも思わねえ。女のトスなんてたかがしれてる。自分でボール上げて打つ方がマシだ。
「君、高校生だよね?部活は?」
「関係ねえだろ。」
「ねえ、名前何て言うの?私は橋口莉緒。」
聞いてもねえのに、名乗ったソイツは、返事もしねえ俺にしつこく声を掛けてきた。…うぜえ。
「高校ではバレー部入ってないの?ポジションは?ミドルブロッカー?ウイングスパイカー?」
「さっきからうるせえよ!俺に構うなつってんだろうが!」
目を真ん丸くしたソイツは、俺の怒声を聞いて怯むかと思えば、想像した反応とは全く違う反応を見せた。なんでコイツ笑ってんだよ。気持ち悪いな。