第22章 【番外編】そんなこと、自分が一番分かってた(花巻貴大)
俺が彼女を選ぶ条件。一に胸。二に顔。見た目判断で作っていた歴代の彼女達。ヤれればそれでいいし、深く彼女に何かを求めたりする事も無かった。だから、初めて莉緒ちゃんを見た瞬間、こんな美少女と付き合えたらどんだけ幸せかと思った。顔は文句無しに可愛いし、無駄の無い完璧なスタイル。巨乳とはいかないけど、胸もそこそこある。まあ、服の上からじゃ実際は分かんねえけど。それに声も可愛い。ちょっとキツめの性格も唆るものがある。が、残念乍、あの岩泉がこれでもかってくらい世話を焼いていて、入り込む隙がない。莉緒ちゃんは可愛いし、彼女にしたいとは思うけど、それ以上に岩泉をチームメイトとしても友人としても大事に思ってる手前、手が出しにくかった。付き合えたらラッキーかな、位で、取り敢えず莉緒ちゃんとも仲良く出来たらいいなって感じで声を掛けていた。最初はホント軽い気持ちで、どちらかと言うと下心の方が大きかった。なのに、いつも真剣にバレーに向き合って、コートの外から寂しそうに、愛しそうにボールを目で追う莉緒ちゃんからいつの間にか目が離せなくなった。
あ、俺、マジで莉緒ちゃんが好きだわ。
今まで抱いた事の無い感情。誰かをそんな風に想ったのは初めてで、多分初恋だったんだと思う。今まで彼女だっていたし、ヤる事はヤってきた。けど、誰かを好きになったのは初めてだった。でも、自分の気持ちに気付いた時には、岩泉と莉緒ちゃんの間にいつの間にか及川も入っていて、何処か行く時はそれに加え俺と松川も一緒だったが、その三人の中には入り込む隙が無かった。