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【HQ】Egoist

第13章 恋、気付く時(岩泉視点)


 翌日朝練に行くと、莉緒は普段通りだった。そんな莉緒の姿にホッとしながらも、及川と親しそうに話す莉緒に、やきもきした。莉緒が俺以外の奴に心を開けているのなら、それは俺にとって喜ばしい筈なのに。考えてもその苛立ちの原因となる事が分からなかった。代表決定戦まであと少し、ごちゃごちゃ考えてる暇はない。そう思い、自分の中にあるその気持ちに目を瞑り、一層バレーに打ち込んだ。

 そして迎えた、十月二十五日、仙台市体育館。春高バレー宮城県代表決定戦。インターハイ予選のベスト八、春高一次予選を勝ち抜いた八チームが集まる。
 莉緒がマネージャーになってからの初めての公式戦。誰であろうと倒す。そう、気合いを入れて体育館に踏み込んだのに、莉緒は早速他校からの注目を浴びた。隙あらば莉緒に声を掛けようとする他校性に苛立ちを感じた。
 荷物も運び終わり、莉緒の安全を確保し、及川とトイレに向かった。すると、トイレの前で挙動不審な動きをする奴がいた。


「何してんの?」
「だっっっ」


 変な奇声を出し、トイレ前で不審な動きをしてたのは烏野の十番だった。


「二m倒して来たんだってな?さすがだ。」
「ハイッ!!イイエッ!」
「どっちだよ。」
「試合になるとこのチビちゃんホント厄介だから今のうちにどっか埋めちゃう?」
「しっ失礼しますっ!」


 及川がそう言ってビビらすと、慌てて逃げていく烏野の十番。が、誰かにぶつかり足を止めた。────牛若だ。


「…ヒナタショウヨウ──と及川・岩泉か。」
「何このタイミング。」
「知るか。」
「…お前達には高校最後の大会か。健闘を祈る。」
「ホンッット腹立つッ!!」
「全国行くんだからまだ最後じゃねぇんだよ。」
「…?全国へ行ける代表枠は一つだが?」


 イヤミで言ってるんじゃねえのが余計腹立つ…!


「勝つのは烏野でヒイッ!」


 烏野の十番を睨みつけると、また変な奇声を発した。


「あ…いや…えーっと、ヒョエッ!?」


 今度は伊達工の青根にぶつかった。次から次へと現れるライバル校面々。


「誰だろうと受けて立つ。」


 ────今年こそお前を倒して全国に行くのは俺達青城だ。

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