第11章 恋、気付く時
俺らの試合は第二試合。白鳥沢と白水館の後。その為、烏野と和久南の試合を観戦に。
「何あれ、凄い…!」
飛雄とおチビちゃんの速攻を初めて見る莉緒ちゃんはそう呟いた。俺もあれを初めて見た時は驚いた。あんなの普通有り得ないからね。
「あれ?あのセッターの子。」
「何?飛雄がどうかした?」
「…いや、なんでもない。」
そう言って、その後は食い入るように試合を見つめる莉緒ちゃん。
一セット目、烏野が取りそうだな。そう思った時、ボーズ君と主将君が接触した。
「なんだ?」
「──接触した。ラストボールを返した直後。五番のボーズ君と主将君が激突。けっこうな勢いで顔打ったように見えたけど。」
「え、まじか。」
「主将君場合によってはこの試合もう無理な可能性もあるね。…監督の判断次第だけど。」
「もし脳震盪起こしてたら怖ぇからな。」
「脳震盪起こしたのにそのまま試合続行したら夜になって意識不明って話も聞いた事あるしね。軽いバレーボールが当たるのとはワケが違う。」
「まあ球も当たり所によるけどな…。」
「…烏野のボーズ君試合中のメンタルの強さは相当なモンだけどそれは〝自分〟がプレー的に追い込まれた場合。自分が原因で大黒柱を折っちゃった今はどうだろうね?これで負ければ主将君には最後の試合なんだろうしね。」
「…足取りもちゃんとしてるし、まあ大丈夫なんじゃねーか。」
「──でも問題はこの試合あの〝大黒柱〟の代わりを誰が務めるのか。」
「ツーセッターとか?」
「普段から二人体制の練習してるとか攻撃守備もウイングスパイカーに勝るセッターがいるとかでない限りぶっつけでやるのは微妙でしょ。主将に代わるウイングスパイカーが烏野に居るのかは知らないけどね。」
爽やか君にお前しか居ないと声を掛けられ、コートに入ったのは六番の子。
「練習試合に出てたコだね。どんなだっけ?」
「…あんま覚えてない。…まぁ〝そつなく熟す〟って感じだったと思うけど。」
「烏野は人数多くないし他に人居ないのかもね。」
「及川、そろそろアップ。サブアリーナ使えるって。」
「分かった。」
この試合、主将君なしで烏野はどうなるか気になるけど、今は自分達の事に集中だ。