第11章 恋、気付く時
新山工との試合は二セット先取し、準々決勝に駒を進めた。
「明日は伊達工か。」
「私、あそこ嫌い。」
掲示板を見てそう呟くと莉緒ちゃんはそう言った。莉緒ちゃんは今回が公式戦初めてだし、伊達工と関わる事はないのに、なんてその時は思ったけど、翌日その言葉の意味を理解した。
春高宮城県代表決定戦 二日目
「あれ?莉緒ちゃん、バレー部のマネージャーだったんだ?」
そう言って、嘘っぽい爽やかな笑みを浮かべ手を振ってくるのは伊達工の新主将二口。
「え?なんで?何?知り合い!?」
狂犬ちゃんと岩ちゃんが莉緒ちゃんを隠すようにして立った。
「今日こそは連絡先教えてね。」
「ねえ、全然話が見えないんだけど、何?どういうこと?ねえ!」
「青城祭来てたしつこい客。」
「へえ、アンタもバレー部だったんだ?」
狂犬ちゃんにそう問いかける二口君。その二人の様子を見て、クラスの方で何かあったんだろうと思った。岩ちゃん、狂犬ちゃん五組に置いてて大正解だったね!狂犬ちゃんもよく莉緒ちゃんを伊達工の魔の手から守った!
「まあまあ、続きはコートの上で、ね?」
そう言うと、伊達工メンバーを引き連れ、去っていった。去り際に莉緒ちゃん俺らが勝った後にね、なんてウインクを残して。
「なんて軽いヤツ!しかもサラッと俺らに勝つみたいに言ってたし!」
「及川と似てんな、伊達工の新主将。」
「え!?どこが!?俺あんな軽くないよ!」
そう言うと皆に白い目で見られた。