第1章 最低最悪な彼女
「何も知らないくせに。」
莉緒ちゃんはそう言うと俺を掴んでいた手を離し、ボトルをまとめ、体育館へと入って行った。
『 何も知らないくせに 』
それはこっちの台詞だよ。
莉緒ちゃんは飛雄によく似てる。…だから莉緒ちゃんを見てるとイライラするんだ。莉緒ちゃんの事を飛雄二号とでも思えば、大々的に岩ちゃんとの仲を邪魔しても罪悪感なんて感じない。まあ、今までの子達も無理矢理引き離した訳じゃないし。岩ちゃん以上に俺の方が魅力的だよって教えてあげただけで、勝手に向こうが俺の事を好きになった訳で罪悪感なんて元々なかったけど。
にしても、ほんと莉緒ちゃんって、
「可愛くない。」