第6章 許されない過去(四宮視点)
今までは朝練の一番乗りも部活が終わってから練習するのも、大抵私一人だったが、それに莉緒が加わった。元々才能のある子だと思っていたけど、それは私の思い違いで、莉緒は天才ではなかった。人一倍の努力と、その熱心さで技術を身につけていったのだ。
慕ってくれる後輩は沢山いたが、その中でも莉緒は特別だった。部活が休みの日は一緒に市民体育館へ行き練習をしたり、時には女子高生らしくショッピングをしたり、妹が出来たみたいで嬉しかった。
そんな中、莉緒の噂を聞きつけた他校生からの出待ちはすごいもので、莉緒は声を掛けられると怯えていた。莉緒も女子高生としては一般的よりは少し背の高い方かもしれないが、それでもバレー部の中では背の低い方で、自分より遥かに背の高い男達から取り囲まれれば怖いだろう。そんな莉緒を守るため、私は同年代の異性に対して威圧的な態度を取るようになった。その為、私は他校生からは黙ってれば美人なのになんて言われるようになった。そんな風に言われた事が今まで無かった為、正直腹はたったけど、そのおかげで莉緒を必要に追い回す奴は随分減った。
莉緒より学年が一つ上で、どうやったって先に卒業してしまう私は、既に卒業後の事が心配で、莉緒に男に対してはきつく当たるよう言った。それが無理なら無視でもいい。兎に角あんな不真面目な奴らに怯える事も、愛想を振りまいて機嫌を取る必要もないんだからと何度も言い聞かせた。