第8章 それ見た事か。
その日の朝、大勢に囲まれている気配で目が覚めた。
今まで薄暗かった牢屋のあちこちに灯が見え、思わず開いた目をすぼめてしまう
「うんー・・・なに?」
寝起きで乾いた声をようやく絞り出す
まぶしくて顔じゅうの皺が真ん中に集まる。
銀の乙女ったって、寝起きはこんなもんだよ
ようやく目が慣れて来たと思ったら、なんだか懐かしい従者がぞろぞろ。
咄嗟にルイ君が混じってないか探してしまったけど、今回はいないみたい
そういえばアイツ、牢屋に居る時は一度も顔出さなかったな
・・・どーせ何らかの方法で監視してんだろーけどね
お馴染みの従者達は牢のカギを開け、数日ロクに身体も洗っていない私を取り囲む。
そのまま牢の外へ促され、薄暗い階段を上らされる
階段の途中で牢を振り返ると看守と目が合い、大きく頷かれた
お前は終始そんなんかよ!
その後、大きなお風呂に連れて行かれ、身体を清めるように言われた。
これは願ったり叶ったり
王様より先に身体を見たらそりゃダメなので、一人でお湯を満喫することが出来た。
これも願ったり叶ったり
ただし、お風呂場の周囲にはガードがびっしり居たけどね
身体も髪も綺麗になった所で、薄物を着た上から香水をふりかけられまくる
その後、数日前の採寸の後に作られたと思わしきドレスに着替えさせられる
すんごい豪華なの来ると思ったけど、意外にもシンプルなシルエットのドレスだった。
シンプルっていってもそれなりに装飾はついているし、おそらくいい布なんだろうなぁ
審議の儀礼とやらの為にシンプルな構造になってると聞いてゲンナリしたけどね