第9章 まるいさんかく ♥︎ 〜黒尾鉄朗・孤爪研磨〜
頭がうまく回らないまま、私は家に戻った。
自分の部屋で着替えながら、さっきのことを考える。
『話がある、って……何』
思い当たることがないでもない。
だけど、うーん。
自惚れだったら嫌だもんな。
『とにかく早く行こ…』
赤いセーターに黒いスカート。
なんとなく音駒のジャージみたい、なんて考えながら私は自宅を後にした。
私の家からクロの家までは、歩いて10分もかからない。
3軒隣にある家。研磨の家は4軒先。
『クロ〜ぉ、来たよ〜』
おばさんに挨拶をしてから、クロの部屋のドアをノックする。
仲がいいとはいえ、いちおうマナーだし。
ドアの先には研磨もいて、既に携帯ゲームのプレイ最中だった。