第8章 オオカミ王子 ♥︎ 〜月島蛍〜
僕がそんなことを思った原因は、今日の授業中。
確か体育の後だったかな。
『暑い〜!』
そんなことを言いながら、僕の前の席に座って、心は僕に話しかけてきた。
はだけた胸元から、ちらちらと見える鎖骨は…まぁ、許そう。暑いんだもんね。
だけどさ…。
「心」
『ん?なに〜?』
「……暑いの分かるけど、風邪引くから…これ、着てなよ」
僕はたまらなくなって、着ていたカーディガンを脱いで差し出した。
だって、ブラウスの下にキャミソールも何も着てなかったみたいだったから、下着が透けて見えてたんだもん。
他の男子も、心のこと、ガン見しちゃってさ。
なのに、心ったら。
『え〜暑い〜やだーぁ』
なんて言って、僕にカーディガンを突き返してくるんだ。
……その授業が、その日最後の授業だったから、まだ良かったけど。
…いや、僕にとっては全く良くない。
ずっと目の前で透けブラなんてされたら、授業に集中なんて、できるわけないでしょ。