第5章 Sugar honey* ♥︎ 〜月島蛍〜
翌日、携帯のアラームで目が覚めた。
裸のまま布団にくるまっていたせいか、少し肌寒い。
隣で寝息を立てている結木を起こさないように、彼女へと向き直る。
伏せられた瞼が息をする度、僅かに震える。
「…おはよ」
小さく呟いて、キスをした。
『…んっ…、ん…おはよ…』
まだ寝ぼけている様子の結木に、思わず笑ってしまった。
そのまま2人で学校へ向かう準備をする。
自分の部屋で結木が支度をしていることが、なんだか面白かった。
家を出る時、結木が母さんに挨拶をしていた。
何を言っていたのかは聞き取れなかったけど、母さんが満更でもなさそうだったから、あえて何も聞かなかった。
「結木が出るのには、ちょっと時間早かったね」
『ううん、大丈夫だよ〜♪朝練見てるから』
「そんなことしたら、また血の気の多い人たちがうるさいな」
結木と話していると、なんだか自分の毒気が抜かれる気がする。らしくない。
『ふふ…♪』
結木はごそごそとカバンからキャンディーを取り出して食べ始めた。
甘いはちみつの匂い。
「…また、食べてるの」
『うん!!』
にこにこしてる結木が可愛いから。
僕はそっと彼女にキスをした。
今度はちゃんと、はちみつの味がした。
「これからもそれ、食べててよ」
『なんで?』
「君にははちみつが似合ってるから」
…なんて、ほんと、らしくない。
〜fin〜
→あとがき