第4章 貴方は私のヒーロー ♡ 〜及川徹〜
〜心side〜
ーーそれはできないかなぁ。
頭を強く殴られたような感覚。
ああ、そりゃ、そうだよね。
私はなんて馬鹿なことを。
『…そう、だよね。ごめん忘れて!』
咄嗟に笑顔を作ったが、遅かった。
及川くんは真剣な眼差しで、私のことをじっ、と見つめていた。
「心ちゃん。俺はね、誰でも助けてあげるような、お人好しじゃないんだよ」
ーーそれは、今回も同じことだよ?
彼はそう続けた。
そして、私に向き直る。
「心ちゃん、君が俺の中でヒロインなんだ」
「だから、俺は誰でも助けてあげるような都合のいいヒーローじゃなくて、ひとりのためだけに自分を犠牲に出来るヒーローになりたいんだよ」
『…それって…』
わかった?とでも言うように、及川くんがウインクする。
「心ちゃん、俺は君だけのヒーローだよ」
〜fin〜
→あとがき