第18章 Graduation… ♥︎ 〜大将優〜
「…結木、おい」
目を覚ますと、心配そうに私を覗き込む大将くんと目が合った。
「そろそろ戻らねぇと」
どれくらい…気を失ってたのかな。
私の衣服は正されて、何事も無かったかのよう。
ただ、腰の痛みや異物感だけが、先ほどの情事を物語っていた。
『……ごめんね、ありがとう』
「…気に、すんな」
お互い、少しだけ笑って、立ち上がる。
もう、終わりにするの。
「……結木、最後にひとつ、言いたいことがある」
『なに…?』
「…いつでも、連絡してこい。何かあったら助けてやるよ。……友達、だから」
大将くんは凄く複雑そうな顔をしていたけれど、私に向かって真っ直ぐ笑顔を向けてくれた。
負けじと私も微笑む。
『……ありがとう。友達、だよ』
この恋は実ることはないけれど。
ちゃんと思い出に出来るよ。
大将くん…幸せになって。
それで、将来…お互いに家族を紹介できたら…すごく幸せだろうね。
さようなら、戸美高校。
さようなら、私の青春。
…さようなら、大好きな人。
卒業証書を手に、私は校門を出た。
中途半端な気持ちをすべて捨てて、新しく踏み出すために。
〜fin〜
→あとがき