第13章 今日は彼の誕生日 ♥︎ 〜黒尾鉄朗〜
「……おーい、心〜」
『んん…』
目が覚めると、目の前にクロの顔。
『…あれっ、クロ!?お、おかえり!』
「えっ、おう、ただいま」
少しびっくりした顔をされたけど、クロは優しく頭を撫でてくれた。
『ごめん、すっかり寝ちゃってた』
「気にすんな、心も昨日まで仕事だったんだしよ」
に、と笑う彼はまだスーツ姿のままで。
帰ってきて一目散に私を起こしてくれたんだと思うと、胸のあたりがきゅんと切なくなった。
『ん…ありがと……へへ、おかえり…♪』
体を起こして、ぎゅぅと抱きしめれば、背中に回される腕。
「…どうした、今日は甘えただな?」
『んー…寝ぼけてるだけ』
「そっか」
クロは私の頭を撫でてから、軽くキスをした。
「あんまり可愛いと、このまま心のこと、食っちまうぞ?」
『…あれ〜、それを狙ったんですけど〜?』
「…あほか」