第13章 今日は彼の誕生日 ♥︎ 〜黒尾鉄朗〜
クロの家に着いて、鍵を開ける。
玄関に入ると、ふわっ、とクロの匂いがした。
『…なんて、考えてるとか私変態か』
そんな独り言を呟きながら、部屋に荷物を置く。
またマンガは山積みだし、洗濯物はあちこちに散らかってる。
…この靴下は…履いたやつ?
あれ、靴下…片方ずつしかない…。
『……洗濯…しようかな…』
適当に部屋を片付けながら、持ってきたパンをかじる。
これは私のお昼ご飯。
クロの部屋にあるものは、クロの許可をもらってからじゃないと、食べちゃダメな気がするのです。
…でも、いつも冷蔵庫の扉にはメモが貼ってあって。
「中のプリンは心用だから、好きに食べていいぞ」
って、いつも。
私の大好きな焼きプリンが入ってる。
…有り難く貰うけど、クロの前で食べたいから、いつも我慢してる。