第12章 好きの裏返し ♥︎ 〜木葉秋紀〜
『木葉のためなんて誰が言ったのよ!』
「俺のためじゃねぇのかよ!」
『んなわけないでしょ!!』
いつも繰り返される会話。
(あなたのためじゃない)。
そんな私の見栄に、あなたは気が付かない。
いや、気付かれないようにしている。
可愛くないことなんてわかっているけれど、どうもこの性格とさよならすることは難しそうです。
「どうしてあんたはいつもそうなわけ?」
昼休み。
中学から仲のいい英愛には、いつも相談に乗ってもらっているけど、返される言葉はそればかり。
『……だって顔を見てると、恥ずかしくなってくるんだもん』
「あんな暴言の裏にこんな純情が隠れてるだなんて…きっと木葉は思いもしないだろうね」
英愛の言葉に、う、と口ごもる。
「ちょっとは素直になりなよ…」
『……うん…』
少ししょぼくれてると、向こうからにやにやした木葉が寄ってくるのが分かる。
「また何かやらかしたのかよ、結木?」
『何もしてない』
「はーん?どうだか」
くく、と笑われて、顔がどんどん赤くなる。
『っ…私そんな馬鹿じゃないから!!』
つい、大声をあげてしまって、はっとするけど、もう遅い。
そうかよ、と言うと木葉はふらふらとまたどこかへ行ってしまった。
「…心…」
『英愛、何も言わないで…わかってる…』