第11章 私流コーディネート ♥︎ 〜瀬見英太〜
「今日、…結木と過ごせて楽しかった」
こんなこと言って、悪かった。
今まで通りでいいから、このまま普通に話してくれ。
そう言うと、瀬見くんは私に軽く笑顔を作って、用事があるからと帰っていった。
ひとり、駅までの帰り道を歩いて、ぼーっと考える。
思い浮かぶのは全部瀬見くんのこと。
…そもそも私、なんで瀬見くんのコーディネート引き受けたんだっけ。
『……あは、そっか…そうだよね』
俯いていた顔を上げて、瀬見くんへ電話をかける。
するとすぐに、さっきまでと同じ声色で瀬見くんが出てくれた。
「…どうした?」
『ごめん、すぐにでも話したくて。まだ…帰ってない、よね?』
「…おう」
『もう1回、駅前広場に』
そう言うと、瀬見くんはわかったと言って、電話を切った。