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君と共に

第12章 崩れゆくつながり


「楓、今なにしたの?」
鈴木の声が少し低くなったように感じたのは、俺と楓だけだろう。
「なにって…わかるでしょ?子供じゃないんだから。」
クスッと微笑む楓は、無邪気だったあの頃とよく似てる。
ただ、無邪気だけで簡単に済ませれるようなことではなかった。
「楓、あなたもうすぐ死ぬんでしょ?」
もはや、今の鈴木から心配という言葉は辞書からない。
怒りに近い感情が、右手から伝わる。
「楓、今のは冗談、だよね…?」
「私は本気だよ。和樹」
男の返答に見抜きもせず、答えた楓は離れるつもりはないのと言わんばかりに軽い体重をかける。
「あのさ、もうすぐ授業始まるから。早くいくよ?」
楓と俺に近づく鈴木に、拒否を示した楓。
おもちゃを取られないように必死にしがみつく幼児のように、力を込める。
「今日、和樹は休みます。って先生に伝えてくれる?真穂は優しいからお願い聞いてくれるよね?」
笑顔なのに、怖さが出てる。
ふたりの間に、導火線でもあるかのように火花が光る。
「かずくん、また明日ね。」
そう言い残すと、ゆっくり振り返り早歩きで鈴木は屋上を後にした。
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