第3章 人の優しさ
オークションハウスの外へ出ると、そこは一般人の目線では戦場と化していた。何がどうなっているのか全く分からない。
「スゴい……」
わたしはその光景を見て、呆気にとられていた。
「おいおいイキナリこれかよ……!」
「あの2人も当然のように能力者か!」
「スンゴー! 目を疑いますね!」
「あーあー暴れちゃって船長……」
「わはははははは! なかなか頼もしいじゃないか!」
「気の早い奴らだ」
周りの人たちはわたしと同じようにびっくりしている人もいれば、呆れた様子の人もいる。
「……」
(あの人たち、とっても強い海賊だったんだ……)
わたしはオークション会場につながる階段の下で、海軍の目の前に立ちはだかり、何かを話している3人の男の人を見た。
「お嬢さん」
わたしを抱き上げていた金髪の男性に呼ばれて、わたしは下にいる3人から近くにいる男の人へと目線を移した。
「少しの間、降ろしても大丈夫ですか?」
「は、はい」
男性はそっとわたしを下ろすと、地面を蹴って麦わら帽子の男の子の元へと向かった。
「あなた、走れる!?」
「え……」
呆然と、男の人の後ろ姿を見ていたわたしにオレンジ色の髪の女の人が焦った口調で聞いた。