第1章 【切甘】私だけが言えない言葉/及川徹
徹は私のことを、あの時みたいに抱き締めてくれた。
「なんだ、もっと早く言うべきだったなー。
遥香ちゃん、好きだよ。」
「は?」
徹の予想外の返答にビックリしすぎて涙が止まった。
「え?」
そんな私を見て徹はキョトン顔。
「意味、わかんないんだけど、」
「ずっと前から好きだったよ、ってこと。」
「彼女、今までだって沢山、」
「んー告白されたらとりあえずOKしてるんだけど、いっつも俺結局フラれちゃうんだよね、思ってたのと違うって。」
徹はにっと笑ってみせた。その徹の顔との距離がどんどん縮まって、唇と唇が触れた。
「女の子たちは、俺とこういうこと期待してたらしいけど、やっぱりこういうのは好きな女の子にしかできないしね。」
その言葉に私はまた泣き出した。
「ねえ、俺のこと好き?」
「す、き…!
ずっと、ずっと前から大好きだったよ…!」
そう言って私はまた徹の胸で大声をあげて泣いた。
…ℯꫛᎴ