第6章 【甘】first love/財前光
「…え?」
みるみるうちに赤くなってく顔。
「最後の最後でこんな冗談、」
「そんな冗談俺が言うと思う?」
遥香ちゃんは顔をノートで隠した。
ほんまは言うつもりなんかなかった。相手にされる訳ないって、諦めてた。でも、最初から諦めるとか、そんなの自分らしくないし、そういうの程、燃える性分やねん。
「で、返事書いて終わらせるんやろ?」
「なんで、私なん?7つも年上やで。オバハンやん。」
「せやな。」
「特別かわいい訳でもないし、」
「せやな。」
「阿呆、ちょっとは否定せいや。」
「7つも年上で、オバハンやし、全然可愛くもないし、うっさいし、お節介やな。けど、好きやねん。好きになるのに理由なんかいるか?」
「…なあ、財前君。財前君は確かにカッコいいと思うし、凄いモテるらしいやん。これから同い年の子たちと、沢山恋愛していくと思う。そんな大事な時間を私なんかに費やすっていうん?」
ノートで未だに顔を隠す遥香ちゃんの手からノートを奪った。顔はさっきよりも真っ赤になってて、茹でダコみたいやった。
「中学生相手にドキドキしてんの?」
「こんなん、初めてやもん。」
「なあ、今すぐなんて言わんから、俺のことそういう対象として見てってや。絶対惚れさせたるから。
とりあえず、約束のぜんざいでも食べに来週の日曜デートでも行こうか。」
…ℯꫛᎴ